樹脂染色法 ー②グラデーション編ー
カクノへ染色する方法や各種の柄の染色法について,シリーズで解説していきます.樹脂染色へご参考,応用いただければ幸いです.
ただし,本方法による事故について責任を負いません.自己責任にて実施してください.なお,呼吸器疾患がある方は控え下さい.
今回は,染色の基本というタイトルで染色に必要な用具や基本的な染色について解説していきます.
key words;薄い色から順番に,染色温度,染色液の比率,薄く薄く,
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>1.~3.までは 樹脂染色法ー①染色の基本ーの内容です.読み飛ばしていただいても構いません.
1.染色に必要な用具
染色液
大阪化成品株式会社 SDN (11色)
ビーカー(耐熱ガラス製の容器)
150ml~250mlの範囲
加熱機器
IH,ガスレンジ,電熱,アルコールランプ
鍋
ビーカーが入るくらいで可能
温度計
アナログ,デジタル可能
トング・割りばし
ビニル系手袋
カクノ
キャップ,胴軸(首軸ユニットを除く)
時計・ストップウォッチ
2.染色する環境
①換気の良い場所
②火気の使用に注意
③食品を扱わない環境
3.染色の下準備
①カクノの洗浄
カクノをキャップと胴軸のみにし,中性洗剤で下洗いします.
洗浄後は,キッチンぺーパーなどで水気を切ってください.
②染料の希釈
ビーカーに染色液を入れます.
このときの希釈割合は,11色の染料により異なりますが,おおむね,水15:染料1の比率です.実際には,水10:染料1~水20:染料1と幅があります.
③染色液の加熱
鍋に水を入れ,ビーカーを入れて加熱します.染色液に温度計を設置し,85℃くらいになれば火を止めて染色開始です.75℃を下回るのであれば再加熱してください.
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4.グラデーションの染色
グラデーションの染色には大きく分けて2つあります。1つ目は単色(1色)によるグラデーション.2つ目は複数色によるグラデーションです.
4-1.単色グラデーション
単色のグラデーションとは,染色液1色でグラデーションを表現する方法です.この方法は,グラデーションの基本となる動作が含まれています.
4-1①単色グラデーションの方法
単色グラデーションの方法は,染色液に浸す時間を変えることで濃淡のグラデーションを表現します.染色液に浸し,10秒から30秒かけてゆっくりと引き上げていきます.最初はなかなか染色していることが不透明ですが,それを数回繰り返すと濃淡がはっきりとしてきます.染色の濃淡は好みや作品によって変わります.染色する部位を微調整して仕上げます.
4-2複数色のグラデーション
複数色のグラデーションとは,2色以上の染色液を用いて様々な色のグラデーションを表現することです.その中には,同色系でまとめたグラデーションや異色系のグラデーションがあります.
4-2①複数色のグラデーションの基本
基本的に単色グラデーションとは変わりありませんが,使用する染色液の中で淡い色を先に染色します.
淡い染色液(水色,黄色,黄緑,ピンク,オレンジ)
中間(緑,青)
濃い染色液(赤,紫,鼠,茶,黒)
淡い色を染色したところで,次に中間や濃い色の染色液で染色します.
4-2②複数色のグラデーションー同色系
複数色のグラデーションの中でも,同色系のグラデーションで染色したい場合があります.その場合は,表現したい色の中で最も淡い色を先に染色し,その後中間や濃い色を染色していきます.
写真1 同色系グラデーションの染色方法
例えば,
写真1は胴軸の後ろから首軸の当たりにかけて、青~水色~透明~エメラルドグリーンの染色になっています.
この写真1の胴軸後ろからエメラルドグリーン手前までを参考に記載しますが,まず胴軸後ろを下にしてから水色で薄く染色します.その後,胴軸の後から3/1を青で染色します.すると青~水色~透明のグラデーションが完成します.
4-2③異色系のグラデーションの組み合わせ
異色系のグラデーションの表現も同色系のグラデーションと同じで,染色したい色の中で最も淡い色を先に染色し,その後中間や濃い色を染色していきます.このとき,2つの色が組み合わさることで何色が生み出されるのか考える必要があります.
写真2 異色系のグラデーションの染色方法①
例えば,
写真2は胴軸後ろから首軸手前まで,紫~紺~青~水色になっています.
まず胴軸の首軸を下にしてから水色で薄く染色します.このとき,胴軸の後ろまで水色を入れます.その後,胴軸の後から1/2を紫で染色します.この工程を複数回繰り返して調整します.すると紫~紺~青~水色のグラデーションが完成します.
写真3 異色系のグラデーションの染色方法②
例えば、
写真3はキャップのグラデーション染色です.キャップ天冠からキャップ口にかけて,黄色~オレンジ~赤~紫に変化しています.この染色は、まずキャップ天冠を黄色で単一染色し,次にキャップ口を紫で単一グラデーション染色します.最後に赤を染色することで,黄色~オレンジ~赤~紫のグラデーションが完成します.
4-3.グラデーションのポイント
染色によるグラデーションのポイントは,結構感覚的なところもありますが,基本的には染色時間(引き上げる秒数),淡い色から濃い色へ薄く複数回重ねることが重要です.そして,色の組み合わせを理解すれば,2色の色でもたくさんの色を表現することも可能です.
5.あとがき
染色によるグラデーションはざっと簡単に記載するとこのようになります.一部分かりにくいところがあるかもしれませんが,堪忍.
グラデーションはどちらかと言うと理論半分,残りは「感覚」や「経験知」となってしまいます.思い通りに扱うようになるまでは時間がかかるかもしれませんが,挑戦された皆さんの作品を拝見できる日を楽しみにしております.
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