筆記具大学 万年筆研究科

このブログは、万年筆へ興味を持っていただけたらなと思い開設しました。染色が織りなす美しさや各種吸入式の構造美など楽しんでいただけたら幸いです。

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樹脂染色法 ー③マーブル編ー

カクノへ染色する方法や各種の柄の染色法について,シリーズで解説していきます.樹脂染色へご参考,応用いただければ幸いです.


 ただし,本方法による事故について責任を負いません.自己責任にて実施してください.なお,呼吸器疾患がある方は控え下さい.


 今回は,マーブル染色というタイトルで染色に必要な用具や基本的な染色について解説していきます.
key words;滴下式温水染色法,時間かかる,めんどい


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>1.~3.①までは 樹脂染色法ー①染色の基本ーの内容です.読み飛ばしていただいても構いません.


1.染色に必要な用具
 染色液
  大阪化成品株式会社 SDN (11色)
 ビーカー(耐熱ガラス製の容器)
  150ml~250mlの範囲
 加熱機器
  IH,ガスレンジ,電熱,アルコールランプ
 鍋
  ビーカーが入るくらいで可能
 温度計
  アナログ,デジタル可能
 トング・割りばし
 ビニル系手袋
 カクノ
  キャップ,胴軸(首軸ユニットを除く)
 時計・ストップウォッチ


2.染色する環境
 ①換気の良い場所
 ②火気の使用に注意
 ③食品を扱わない環境


3.染色の下準備
①カクノの洗浄
 カクノをキャップと胴軸のみにし,中性洗剤で下洗いします.
洗浄後は,キッチンぺーパーなどで水気を切ってください.


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4.マーブルの染色(滴下式温水染色法)
 マーブル.つまり大理石風の染色方法です.この染色法は,染色液を希釈して行う染色と異なり,直接軸に染色液を滴下し,温水の中に浸けることで染色します.これを滴下式染色法(通称:マーブル染色)と名付けました.
 どのような作品ができるのかと言うと,写真1のまるで木(ブライヤー風)やソメイマーブルのような作品ができます.この染色法では,樹脂が持つ光沢感や艶感を生かし,様々なマーブル模様の再現が可能です.


写真1 マーブル染色を行った染色カクノ
(上:まるで木,下:ソメイマーブル)


4-1.滴下式温水染色法 
①準備するもの
 ・シリンジ or でかい綿棒 or なければ3本の綿棒を束ねたもの


②染色方法
 イ.染色原液(希釈していない)をシリンジや綿棒に吸わせる.
  このとき,綿棒はたぽたぽくらいが良い.
 ロ.ビーカーに95℃のお湯を注ぐ(湯せんの場合も90℃程度を保つようにします).
 ハ.染色対象物(キャップ,胴軸)数か所にランダムでシリンジで滴下,ないしタポタポ綿棒でポンポンする。
 二.ビーカーのお湯の中へ静かに入れ,数秒間は何もしない。
 ホ.数秒後,染色対象物を左右180度ずつゆっくり複数回回転させる.
 へ.ゆっくり引き上げる.
 ト.ハからへを繰り返す.
 ※お湯の温度が80℃以下になった場合や染色液で濁ってきた場合は適宜取り換えてください.


 最初は写真1のソメイマーブルやブライヤーのように,白い胴軸,単色のマーブルから始めると習得しやすいと思います.
 慣れてくると↓↓↓

写真2-1 小川の水面に落ちる桜花

写真2-2 小川の水面に落ちる桜花

写真2-3 小川の水面に落ちる桜花


 写真2 の作品は,小川に舞い落ちた桜の花びらがゆっくりと流れていく様子をオマージュしています.透明軸へのマーブル染色,とりわけ,単色マーブルによる染色は,透明感と色のバランスが求められますので,結構難しいです.


 この滴下式温水染色法を応用した染色がオーロラ染色法(写真3)になります.この方法はまた後日(*^。^*)

写真3 オーロラ染色法 夜の汀線