樹脂染色法 ー①染色の基本編ー
カクノへ染色する方法や各種の柄の染色法について,シリーズで解説していきます.樹脂染色へご参考,応用いただければ幸いです.
ただし,本方法による事故について責任を負いません.自己責任にて実施してください.なお,呼吸器疾患がある方は控え下さい.
今回は,染色の基本というタイトルで染色に必要な用具や基本的な染色について解説していきます.
key words;染色温度,染色液の比率,薄く薄く,
1.染色に必要な用具
染色液
大阪化成品株式会社 SDN (11色)
ビーカー(耐熱ガラス製の容器)
150ml~250mlの範囲
加熱機器
IH,ガスレンジ,電熱,アルコールランプ
鍋
ビーカーが入るくらいで可能
温度計
アナログ,デジタル可能
トング・割りばし
ビニル系手袋
カクノ
キャップ,胴軸(首軸ユニットを除く)
時計・ストップウォッチ
2.染色する環境
①換気の良い場所
②火気の使用に注意
③食品を扱わない環境
3.染色の下準備
①カクノの洗浄
カクノをキャップと胴軸のみにし,中性洗剤で下洗いします.
洗浄後は,キッチンぺーパーなどで水気を切ってください.
②染料の希釈
ビーカーに染色液を入れます.
このときの希釈割合は,11色の染料により異なりますが,おおむね,水15:染料1の比率です.実際には,水10:染料1~水20:染料1と幅があります.
③染色液の加熱
鍋に水を入れ,ビーカーを入れて加熱します.染色液に温度計を設置し,85℃くらいになれば火を止めて染色開始です.75℃を下回るのであれば再加熱してください.
4.簡単な染色方法
今回は,ただ1色で染めるだけ の基本的な染色方法です.
単色染色の事例(上ノーマル?,下に行くにつれて濃くなります.)
①染色
ビーカーに入った染色液が85℃になったら,カクノのキャップor胴軸をゆっくり入れてしゃぶしゃぶします.投入後,数秒で少しずつ色が染色されていきます.数秒~10秒毎様子を見ながら染色をしてください.
好みにもよりますが,30秒くらいから染色の様子が良く分かるようになります.ただし,色によっては時間がかかります.また,一度染色すると,濃すぎたから薄くしたいと色を戻すことは基本的にできません.薄く薄く重ねていくことが肝要です.
5.染色のポイント
①薄く薄く重ねていく
染色の基本は薄く薄く色を重ねていきます.デッサンのようなイメージです.全体的なバランスを見ながら調整していきます.
②キャップと胴軸を同じくらいに染める.
キャップと胴軸を同じくらいの濃度に染色する場合は,キャップと胴軸を同時に染色をする方法と,片一方ずつ染色する方法があります.
同時染色
一気に2つの部品を染色することが可能ですが,実際には同じ濃度で染め上げることは難しいです.これは,キャップと胴軸の長さが異なることで光の屈折が異なることや,素材の温まる時間が異なることなどが原因ではないかと考えています.そのため,この方法を実施する場合は,ある程度好みの濃度といなる手前で引き揚げ,水洗いし,キャップと胴軸を比較し,調整をしてください.
単一染色
時間を計測しながらキャップor胴軸をある程度好みの濃さまで薄く様子を見ながら染めていきます.その後取り出して水洗いしておきます.
次に片一方を染色していきます.先に染色した染色時間や染色部品を参考にしつつも,薄く様子を見ながら染色をしてください.
③水洗いすると薄くなる?
染色後,余分な染色液を水洗いすると,「あれ?薄くね?」と言うことがあります.薄い場合は,再度染色液に浸けてください.
6.番外編
首軸を染色するとどうなるか?
首軸からペン芯とペン先を取り外し,首軸を染色液に浸けると染色することは可能です.しかし,内部にひび割れが生じたり,表面がべたべたしたりします.これらを予防するためには,温度管理,首軸表面の保護,染色液の濃度などなど,条件がたくさんあります.したがって,首軸への染色はリスク回避から行わない方が最善の選択かと思います.
7.カクノ以外の染色
カクノ以外の染色は,また次回.
※本方法による事故について責任を負いません.自己責任にて実施してください.なお,呼吸器疾患がある方は控え下さい.
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